頼れるふくしまの医療人

今月の医療人紹介 

(2015年5月1日掲載)





一般財団法人大原記念財団 大原綜合病院 小児科
主任部長 鈴木 重雄氏


地域の小児医療を牽引


 県内では今、医師不足等の問題から住民が近隣の医療機関で適切な医療を享受できる体制の整備が難しい地域もある。そのような中で県北地域唯一となる小児単独の病棟を構え、各専門医による診療体制のもと地域の小児医療を牽引している一般財団法人大原記念財団大原綜合病院小児科を取材し、主任部長である鈴木重雄氏に話を伺った。鈴木先生は一般小児科、小児腎臓病、アレルギー、内分泌などを専門としているが、今回は主に小児腎臓病についての話を伺った。鈴木先生は、地域住民が安心して小児医療を受けられるように他病院、診療所等との連携をしっかり図り、今後も地域に必要な医療提供を行うための体系を維持していきたいと話してくれた。



地域の小児医療を支える体制
大原病院の小児科は常勤医師数が多く医療体制も整っていることから地域住民にとって心強い存在となっています、どのような診療が行われているのでしょうか

 県北地域にある一般病院のうち、小児疾患で入院できる施設は当院を含めて3病院あります。そのうち小児単独で病棟を構えているのは当院のみで、現在6名の常勤医体制で新生児から一般小児までの診療を行っています。一般小児医療においては、肺炎をはじめ感染症などの急性疾患から腎疾患などの慢性疾患まで受入れ、重症例は福島県立医科大学病院(以下、大学病院)との連携体制のもと、可能な限り当院で診療を行っています。外来では、最近、発達障害のお子さんの受診が増えているのですが、当科には小児神経を専門とする医師も在籍していますので、そうした診療や支援も行っています。一方、新生児医療においては、新生児NICU(新生児集中治療室)に相当する設備を持っているため、可能な限りは当科で診療を行い、一部の超低出生体重児(1000g未満)等の診療については大学病院への紹介体制を取っています。
 当科6名の常勤医師のうち私を含めた4名は各専門を持っていますので、小児医療の広範囲な分野に対してそれぞれが十分に力を発揮できるよう工夫しながら、地域の基幹病院として積極的な診療を行っています。



小児腎臓病の診療
小児の腎臓病について伺っていきます。まず、学校で行われる定期的な健康診断の項目の中には尿検査がありますが、どのような異常を疑うことがあるのでしょうか

 学校検尿で異常所見が認められ、精密検査が必要となったお子さんが医療機関を受診する場合、

「血尿を呈する疾患」
出典:一般財団法人大原記念財団 大原綜合病院
小児科 主任部長 鈴木 重雄氏
泌尿器科に行かれる方がおられますが、外科である泌尿器科の病気のことは少なく、また基本的に15歳までのお子さんの診療は小児科で担当していますので、当科を受診していただければと思います。
 学校検尿には、「病気を無症状のうちに見つける」という重要な目的がありますが、小・中学生の場合、症状のない血尿や蛋白尿等の尿異常は、特に制限などせず、外来で経過をみている中で自然に正常化するなど治療の必要がないことがほとんどです。また、腎癌などの悪性疾患は、小児での発症頻度がかなり低いことなど、いわゆる泌尿器科的な疾患であることは、かなり稀です。そうした理由からも、尿異常を指摘された場合は、まず小児科を受診していただいた方が良いと思います。(「血尿を呈する疾患」参照)


小児の腎疾患のうち急性糸球体腎炎(以下:急性腎炎)はどのようなことから発症するケースがあるのでしょうか

 小児の腎疾患には、腎炎やネフローゼ症候群という全身が浮腫んでしまうようなタイプ、それから他の全身疾患に伴う二次的な腎炎等があります。腎炎については、急性腎炎と慢性腎炎に大きく分けることができますが、小児の急性腎炎は溶血性連鎖球菌(以下、溶連菌)やある種のウイルス感染後に発病することがあります。溶連菌とは、昔から猩紅熱の原因菌として知られていますが、 咽頭扁桃炎などを引き起こす一般的な細菌です。このため溶連菌が流行している年には急性腎炎の患者さんも多くなりますが、今は抗生物質が発達したこともあり、昔に比べて急性腎炎そのものは減っているようです。
 溶連菌感染症の典型的な症状としては、発熱と咽喉の強い痛み、そして身体に紅い発疹が出ます。感染が疑われる場合は咽喉の拭い液を採取して行う迅速診断キットによる検査や細菌培養等の検査を行い、溶連菌感染と診断されると抗生物質を数日間服用して治療します。溶連菌に感染した患者さんは、その2週間後ぐらいに急性腎炎を発病することがあるため、必要に応じてその頃に尿検査を行っています。


小児急性腎炎の発症時に分かりやすい症状はあるのでしょうか、また、どのような経過をたどるのでしょうか

 初期症状があっても軽微なことのほうが多いのですが、お子さんの様子を見ていて気付きやすい症状としては、まぶたの浮腫みがあります。顔の浮腫みは、身体の浮腫み、例えば足の浮腫みよりも周りの人が気付きやすいことから、お母さんたちが朝、起きた時のお子さんの顔付きの違いに気付いて来院されることがあります。その他には、何となく怠そうな感じがある(食欲不振、頭痛)、また、いわゆる血尿が出たことに驚いて来院されるケースもあります。血尿と言うと一般の皆さんは赤ワインのような色を想像されるかもしれませんが、赤っぽい色の場合はどちらかというと泌尿器科的な病気のことが多く、急性腎炎や慢性腎炎の場合は醤油やコーラを薄めたような黒っぽい色になります。何れにしても肉眼的に尿の色が異常の場合は、早めの受診が必要です。
 急性腎炎の基本治療は、いわゆる保存療法で、安静にして塩分と水分を制限する食事療法をある程度の期間、行います。急性腎炎とは腎臓が一時的に疲れてしまった状態なので、腎臓にあまり負担をかけないような治療をしていきます。このため軽い方は、安静にしているだけで回復することもあります。大多数は強力な薬剤を使用する積極的治療を行わなくても治癒します。そうした意味から急性腎炎と診断できた場合は、私たち医師としても安心できる部分があります。ごく稀な重症例で、高度な腎不全を呈して透析を必要とする方もいて注意が必要ですが、幸い、その他の大多数の患者さんにとっては、治る腎炎の代表と言えるのではないでしょうか。


一方で小児慢性腎炎についてはいかがでしょうか

 慢性腎炎となると、急性腎炎のように安静にしているだけでは徐々に悪化の一途をたどる危険性があります。また、多くは治療の介入が必要です。ですから急性と慢性の鑑別はとても重要で、そこをしっかり分けて考える必要性があります。

「腎生検結果」
出典:一般財団法人大原記念財団 大原綜合病院
小児科 主任部長 鈴木 重雄氏
 慢性腎炎の組織病型には様々な分類がありますが、10代から20代前後の方に発病頻度が高いのは、IgA腎症(※1)です。この患者さんの大半は無症状のため、学校検尿を含む尿検査で異常(血尿・尿蛋白)が指摘されたことがきっかけとなり、見つかることがあります。偶然にみつかる尿異常と言うことになりますが、そのようにみつかった尿異常のお子さんのうち確定診断のために腎生検を行った結果、一番多いのがIgA腎症です。(「腎生検結果」参照) また、それ以外のケースとしては、扁桃炎がきっかけとなって発見されることがあります。これは扁桃炎で発熱した時に、高度の血尿、いわゆる肉眼的血尿(赤褐色)となり、病院を受診するものです。実は、扁桃、口蓋扁桃と腎炎、特にIgA腎症とは深い関係があり、病巣感染と言われています。扁桃の炎症が遠隔臓器である腎臓に障害を引き起こすとされています。これについては近年、扁桃摘出術(扁摘)とステロイドパルス療法を組み合わせた治療が実施される例が多くなってきました。IgA腎症と診断されても病状の軽重は患者さんによって異なるため、全例に扁摘を行う必要性は無いと思いますが、ある程度進行した症例などで特に有効性があると思います。当院でもこれまで数例に実施しています。
 IgA腎症については、まだまだ不明な部分が多いことから治療法が確立されていないのですが、従来からの基本的な治療法としては次のような治療が行われています。まず、軽症例に対しては、血圧を下げる降圧薬を使用したりします。降圧薬の中には腎臓を保護したり尿蛋白を減らす働きを持つタイプがあります。それから、ある程度進行した症例に対しては、経口副腎皮質ステロイドホルモン剤(以下、ステロイド薬)や免疫抑制剤等の薬物療法を行い、通院で1~2年ぐらい続けていきます。腎炎について昔からのイメージが強いと、「腎炎=学校の体育は見学」と思われるかもしれませんが、必要以上の安静は骨を脆くしてしまうなどのデメリット面もありますので、今は考え方が変わってきています。


IgA腎症(※1)の予後については、どのようになっているのでしょうか

 急性腎炎に関してはその大多数が治癒するとお話しましたが、慢性腎炎も軽症の場合には寛解に至ります。当院にも年に1~2回程度の外来通院で経過を診ているお子さんがたくさんいます。特に、小児IgA腎症に関しては治療に対する反応性が良く、それに加えてお子さんは生命力が強く細胞も若いためか、ある程度寛解に至ることが多いように感じています。ただ、それとは反対に成人の場合は慢性腎不全の要因になっています。
 進行性の経過をたどるIgA腎症の典型的な予後としては、大体10~20年の経過をとって徐々に進行、悪化していきます。小児の患者さんが急激に進行するケースは稀ですが、そこで進行性の経過をたどる方については、成人になって行く段階で内科の先生にしっかりとバトンタッチしながら長期に渡り経過を診ていく必要性があります。そのような患者さんに対して現段階では透析導入を完全に回避することはできませんが、学校検尿が始まる以前と比べると、今は明らかに透析導入に至る年齢が高くなっています。これは、治療法の進歩という面が当然ありますが、年に一度の学校や職場での健康診断(検尿)の重要性を示しているデータだと思います。皆様も、是非年に1度の健診を、しっかり受けて下さい。特に、血尿と蛋白尿、両方とも指摘された場合は、早めの受診をお勧めします。



小児ネフローゼ症候群
小児の腎臓病で比較的多い病気にはどのようなものがあるのでしょうか

 小児期の代表的な腎臓病としては、2歳から6歳ぐらいのお子さんに多い、特発性ネフローゼ症候群(以下、ネフローゼ症候群)が上げられます。これは、何らかの原因で尿に大量の蛋白が血液中から漏れてしまうため、全身がむくんでしまう病気です。ただ、腎機能は低下しないので、見た目には浮腫んで顔がパンパンに腫れていても、本人は意外と元気に走り回れるような状態が多いです。その原因ですが、特に小児期は腎生検をしても、ほとんど正常である、いわゆる微小変化型と言われるタイプが多いため、まず腎生検は行いません。(「ネフローゼ症候群の組織型」参照) また、治療としては、主にステロイド薬の内服を行いますが、約8~9割の患者さんは1週間から10日ぐらいでステロイドに反応し、

「ネフローゼ症候群の組織型」
出典:一般財団法人大原記念財団 大原綜合病院
小児科 主任部長 鈴木 重雄氏
尿蛋白が消えて寛解に至ります(ステロイド感受性)。その後も引き続き3ヵ月前後ぐらいは服用を続けますが、大半の方は薬の服用をそこで終了することができます。しかし残念ながら、ネフローゼ症候群は再発しやすいという特徴を持っていることから、寛解に至ったお子さんのうち7割ぐらいの方に再び尿蛋白が出現し、いわゆる再発が起こります。そしてその後も、2~3回の再発を繰り返したりしますが、成長(加齢)に伴って完全寛解、再発しなくなることがほとんどです。このようなことから、基本的には“子どもの病気であり、大きくなると治る”と説明させていただいています。当然、短期間の治療であり、その後の運動や食事の制限も必要ありません。



再発のしやすさについて分かっていることはあるのでしょうか

 再発には体質のようなものも関係しているとは思いますが、その関連性は不明です。ただ、私が診療の中で感じていることは、患者さんのうち半数以上が何かしらのアレルギーを持ったお子さんであること、そして特に虫刺されの跡が腫れやすいお子さんが多いことです。現代のお子さんのうち何らかのアレルギー疾患を有する割合は全体の10%弱と言われていますので、その割合の高さがお分かりいただけると思います。虫刺されはネフローゼ症候群再発の誘因の一つとして重要です。実際に虫刺されの多い、初夏などに再発したりします。その他の再発の誘因としては風邪や疲労なども挙げられますが、これらの予防は現実的ではありませんね。ただ虫刺されは、ある程度予防できるので、例えば草むらに行かないとか、虫除けスプレーを使用するとかなどの指導をご家族に行ったりしています。


長期入院が必要になることもあると聞きますがどのぐらいの期間なのでしょうか、また入院生活による患者さんの不安に対して何か取り組まれていることはございますか

 入院期間は治療の内容や反応性によって異なりますが、尿蛋白が消えるまでは最低限入院していただいています。それも踏まえて平均で2週間弱ぐらいから、許される場合は1ヵ月前後お願いすることもあります。その間、特に初発の場合は、浮腫みが取れるまでの10日前後は安静が必要で、その時期が過ぎても他の感染症の感染予防のためにも病院内を歩き回るようなことは避けていただいています。 そのような制限もあるため、入院中のお子さんは強いストレスを感じると思いますし、長期入院となると学業面での心配等も出てきます。また、入院に付き添われる親御さんとしても、ご自宅に居る兄弟やご家族に対しての心配等があると思います。このため当科では、可能な限り入院期間の短縮を考えながら治療を進めています。そして、お子さんの学業面については必要に応じて学校の先生にボランティアで来ていただくようにしています。その他、病棟のプレイルームを充実させたり、年間行事に合わせたイベントを開催したり、お子さんたちが楽しめるような企画を考えながらスタッフ全体でお子さんや親御さんのケアに取り組んでいます。


お子さんの病気となるとご家族の心配も大きいと思います、先生方は説明の際にどのようなことを心掛けていらっしゃるのでしょうか

 私は、お子さんの状態や病気について十分にご説明することを第一に考えています。そこでは医療用語が増えてしまわないように気を付けながら、出来るだけ分かりやすい言葉で話すことを心掛けています。それから、どうしても私たち医師に対しては聞き難いこともあると思いますので、当科では看護師やスタッフに対して気軽に声を掛けていただき、そこできちんと応えられるような環境作りを行っています。2017年後半に新築移転開院予定の新病院では相談室等のスペースを広く確保する予定ですので、さらに充実した環境の中でお応えしていきたいと思っています。
 また、薬を飲ませることが大変、大泣きして拒否するお子さんが時におられます。このような時には、まずご家族に対してその薬剤の必要性を十分にお話する必要があります。また、お子さんに処方した薬を、どんな味なのか、それほど不味くないことなどを知ってもらうために、ご家族に味見をしてもらっています。お子さんに飲ませるもの、食べさせるものの味を知らないのではマズイですよね。そうした薬剤に係ることについては、腎疾患の治療ではステロイド薬を使用する割合が多いことから、その説明もしっかり行う必要があると考えています。


ステロイド薬については不安視する声もあるのではないかと思いますが

 確かに一般的にステロイドという名前を聞いただけで、全て拒否される方が時におられるのも事実です。このことは薬剤メリットよりもデメリットに注目が集まりやすい傾向があるからではないでしょうか。そこには、インターネットの普及による情報の引き出しやすさも影響していると思います。今は誰でも簡単に医療に係る情報を得ることができる反面、一般の方が正しい情報を選別することは難しい状況にあるとも言えます。特に薬剤の副作用については数多く掲載されているようですが、薬剤本来の作用、メリット、そしてその薬剤を使用しなかった場合のデメリットに関してまでは書いてあることは少なく、少人数の方に出た副作用が全ての方に共通すると認識できるような表現も見受けられます。そうした面では、ご家族に対して不確かな情報に左右されないようにお話をすることもあります。 
 実際のところ、特にネフローゼ症候群や腎炎に関してステロイド薬は特効薬に近いものです。そして私たちは、その主作用を発現させることを目的として使用しています。確かに、副作用として成長抑制や肥満等の心配もあります。特にネフローゼ症候群のうち1割ぐらいのお子さんに頻回再発型・ステロイド依存性の方がいて、ステロイド薬の減量や中止により再発してしまうため、なかなかステロイド薬を減らせず、結果として副作用が強く出てしまう方もいます。そうしたお子さんに対しては、近年は薬の進歩により、いろいろな免疫抑制剤や生物学的製剤等の有効な薬剤が使用できるようになったため、以前と比べて副作用に関する問題は格段に減ってきています。
 ステロイド薬そのものも、如何に副作用が出ないように、そして最大の効果が出るように使用していくかが重要です。例えば、なるべく早い時期に連日投与から隔日投与にしたり、出来るだけ短期間の使用にするなど、十分に注意をしながら治療を行っています。このように患者さんのご家族には、薬剤によるメリットとデメリットの両面を十分に説明した上で治療するように心がけています。



連携と院外での活動
貴小児科ではどのようにして他科との連携を図られているのでしょうか、また、院外では他病院と協力した活動もされているそうですね

 私たち小児科の診療は、他科との連携がとても重要です。小児でも胃腸科系疾患で内視鏡検査が必要なお子さん、腎結石で衝撃波による治療を必要とするお子さん、その他にも眼科や耳鼻咽喉科と連携して治療を進める必要のある疾患等が色々あります。また、例えばハイリスク新生児のお子さんとなると、NICU を退院した時点で全ての診療が終了するわけではなく、そこからの発育・発達という面を診ながらのフォローアップが始まっていくと考えます。このため、その成長の過程の中で発生する様々な問題に対して他科の先生方と協力、相談し合いながら診ていく体制が必要です。当院は医局が一箇所なので、他科の先生方との垣根がなく、相談しやすい環境にあります。このためカルテを持って行き、すぐに相談できるような場面も多々あります。そして、それにより素早く状況に対応できた経験も度々ありますし、患者さんの各種フォローアップについても連携しながら診療を継続させることができています。
 院外での活動については、当科は1型糖尿病のお子さんの診療をしていることから、日本糖尿病協会の後援で毎年開催されている、インスリン治療中の小・中学生を対象にした「小児糖尿病サマーキャンプ(※2)」の福島県での開催に協力しています。日本人に多い2型糖尿病の罹患数に比べると、1型の患者さんは圧倒的に少なく、一般の方達への認知度も低いかと思います。1型糖尿病の方は、ブドウ糖というエネルギーを体の中、細胞の中に入れるために、食事の前に必ずインスリンを注射する必要があります。また、低血糖で意識を失ったりすることもあり、その予防としてブドウ糖の錠剤やゼリーを食べることも必要です。そうしたことから同じ病気を持つお子さん同士が交流を図ったり、糖尿病の自己管理に必要な知識やインスリン自己注射の手技等を再教育する場として、サマーキャンプを開催しています。参加しているお子さんたちはインスリン注射が必要なこと以外は他のお子さんと何ら変わりなく生活できますので、私たち医師もみなさんと一緒になって遊んでいるようなところもあります。当県でのキャンプは、毎年協力病院が持ち回りで担当しながら2泊3日程度のプログラムで開催しており、今年で第14回目となります。今回は当院が担当なので、小児病棟のスタッフが中心となって、病院全体の協力を得ながら、忙しく準備を進めているところです。


小児科の魅力
先生はどのようなところに魅力を感じて小児科医を選択されたのでしょうか

 小児科は診療の範囲がとても広いため大変なイメージがあるかもしれませんが、とてもやりがいのある診療科です。当科では、毎年5~6名の初期研修医と、4~6月までの3ヵ月間は県立医科大学医学部6年生の医療研修を受け入れているので、そうした場面で小児科の魅力について話すことがあります。私が特に小児科の魅力だと思っていることは、診療を通して「患者さんの‘治る力’を見ることができるところ」です。特に一般病院での臨床研修の場で関わる患者さんは急性疾患のお子さんが多いため、初診、入院時にはぐったりしていたお子さんが、一週間後には元気に笑顔で退院して行く姿を見送る機会も多々あります。そういう点では、慢性疾患を扱うことの多い大学病院との違いを感じていただけると思います。私自身も臨床研修の場で、実際にそうした治るお子さんを診たりしたことなども小児科医を目指す一つのきっかけになりました。
 お子さんは成長する年代なので、自ら病気を“治す力”が強い時期だと思います。細胞自体が若いということなんだと思いますが、その力をうまく引き出してあげることが、小児科医の役割なのかもしれません。治っていくお子さんを診る楽しさを研修医や学生のみなさんにも実感して欲しいと思います。そして、そうした患者さんとの出逢いがきっかけとなり、小児科医の道を選択していただければ良いですね。




地域の小児医療発展に向けて
地域そして福島県の小児医療を支えるために、先生はどのようなことをお考えでしょうか

 私は、小児科医はある程度の病院に集約化させることによって、 1人2人の医師だけでは対応できない領域まで診療の幅を拡げることができ、さらには専門的な体制の中で診療することが可能になると思っています。それが結果的にお子さんたちのためになるでしょう。当科は、地域の他の一般病院に比べて常勤医数が多いかもしれませんが、地域に必要な小児医療を提供するために必要な人数であり、今後もこの体制を維持していきたいと考えています。さらに新病院の小児病棟では今以上に個室を増やし、より柔軟に入院患者さんを受け入れる体制を整える予定です。そうした充実した医療環境を整え、今後の県内の小児医療向上のために引き続き貢献していきたいと思っています。



※頼れるふくしまの医療人では、語り手の人柄を感じてもらうために、話し言葉を使った談話体にしております。


プロフィール
鈴木 重雄氏 (すずき しげお)

役  職 (2015年5月1日現在)
 一般財団法人大原記念財団 大原綜合病院
 小児科 主任部長
 (福島県立医科大学臨床教授 同客員講師)

卒業大学
 福島県立医科大学(1985年)

得意分野・専門
 一般小児科、小児腎臓病、アレルギー、内分泌など

資 格 等
 医学博士
 日本小児科学会専門医
 日本腎臓学会認定指導医
 日本アレルギー学会専門医  

所属学会
 日本小児科学会
 日本腎臓学会
 日本アレルギー学会
 日本小児腎臓病学会
 日本小児アレルギー学会
 日本小児腎不全学会
 日本小児内分泌学会
 
経  歴
 1985年 福島県立医科大学 卒業
 1989年 福島県立医科大学大学院 卒業、公立高畠病院小児科
 1990年 竹田綜合病院小児科
 1993年 済生会福島病院小児科、福島赤十字病院小児科
 1994年 福島県立医科大学小児科
 1995年 福島県立医科大学小児科助手
 2001年 福島県立医科大学小児科学内講師
 2003年 公立岩瀬病院小児科
 2004年 公立藤田総合病院小児科
 2007年 大原綜合病院

 一般財団法人大原記念財団
 大原綜合病院

 〒960-8611
 福島県福島市大町6-11
 TEL:024-526-0300(代表)
 FAX:024-526-0342
 URL:大原綜合病院ホームページ
 





◆用語解説◆

※1 IgA腎症

慢性糸球体腎炎の一病型で、日本では高率にみられる。糸球体(メサンギウム領域)へのIgA(免疫グロブリンA)を主体とする沈着を特徴とするが、原因は不明。このIgA腎症に対しては、扁桃、口蓋扁桃と特にIgA腎症とは深い関わりがあると考えられており、扁桃の炎症が遠隔臓器である腎臓に障害を引き起こす(扁桃病巣感染症)とされていることから、扁桃摘出術とステロイドパルス療法を併用する治療が行われるようになり、近年その効果が高いことで期待されている。
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※2 小児糖尿病サマーキャンプ

公益社団法人 日本糖尿病協会のHPをリンク
http://www.nittokyo.or.jp/event/patient/summer_camp/
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